クレジットカードでも過払い金請求出来るの?メリットとデメリット双方を把握した上で判断しよう

クレジットカードを長年利用していれば、過去にクレジットカードを使って現金を借り入れた経験がある人が含まれています。テレビCMで過払い金について多くの司法書士事務所が宣伝している様子から、消費者金融からの借り入れがあった場合には過払い金請求が出来ることはある程度知っている人も多いです。しかし、金銭消費貸借契約は信販会社も行っていて過払い金請求の対象になっているなら、クレジットカードで借り入れしていた場合にも当てはまるのではないかと思うことは自然なことです。では、クレジットカードで過払い金請求をしようと考えた場合には、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

ご隠居、過払い金請求のテレビCMを盛んに見かけるようになっていましたが、クレジットカードでキャッシングした分については過払い金が含まれていないのでしょうか。
クレジットカードは契約内容によりキャッシング枠の設定が決まるから、いつどれだけの借り入れをキャッシング枠にて行っていたかという状況次第じゃのう。法律絡みの話になるから格さん説明してあげなさい。

畏まりました、ご隠居。

このページで分かること

クレジットカード利用者の中に過払い金請求可能な人が含まれるのはなぜ

クレジットカードは信販会社が会員に向けて貸与しているカードであって、あくまでもクレジットカードの所有権は名義人に関わらずクレジットカード会社にあります。ポイントとなるのは、クレジットカードの発行元が銀行以外かどうかという点です。なぜなら、信販会社と消費者金融はかつて違法な金利で貸付を公然と行っていた時期があるからです。

クレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠がある

クレジットカードは、信販会社及び一部の銀行が発行しているカードです。申し込みを行った際に信用情報を調べた上で利用限度額を設定し、利用限度額の範囲内で繰り返し利用することが出来る仕組みが採用されています。クレジットカードには共通してショッピング枠が用意されており、希望制やクレジットカードの種類により別途審査を行った上でキャッシング枠を設定可能です。クレジットカードの利用限度額とショッピング枠は同じであって、キャッシング枠のみがショッピング枠と共通の利用限度額の中から別途小さめの金額で設定されます。ここで注意しなければならない点として、ショッピング枠とキャッシング枠では法律上の取り扱いが全く異なるという点です。

・ショッピング枠はクレジットカード会社が代金を一時的に立て替え払いしているに過ぎない
・キャッシング枠はクレジットカード会社から金銭消費貸借契約に基づき借金することになる

上記の違いはクレジットカードで過払い金が発生するかどうかの分岐点となるので、クレジットカードの利用履歴を確認する際に重要なポイントとなります。なぜなら、立て替え払い金に対しては過払い金は発生せずに、借金を行っているキャッシング枠については過払い金が発生する可能性があるからです。

キャッシング枠は消費者金融からの借り入れと変わらない貸金業法に基づく取引

クレジットカードを利用していてもショッピング枠を利用しているだけならば、単なる立て替え払いであって貸金業法に定められた金銭消費貸借契約ではありません。たとえ分割払いやリボ払いを利用していても、キャッシング枠を利用していない限りは借金を行ったことにはならないわけです。キャッシング枠を設定すると、商品購入を行うことなく提携ATM経由で直接クレジットカードに設定された与信枠の範囲内でクレジットカード会社から借り入れが出来ます。キャッシング枠を使った借金については、支払い方法に関係なく貸金業法に基づく融資となるので貸金業法に定められた総量制限の適用を受けます。

クレジットカード会社はかつてグレーゾーン金利で貸付を行っていた時期がある

過払い状態となっている原因は、2010年6月に完全施行された改正貸金業法及び割賦販売法が適用されるまでは、金銭消費貸借契約における上限金利に2つの法律が関わっていたからです。利息制限法で定められた上限金利と、出資法で定められた上限金利が異なっていたことが原因で、グレーゾーン金利と呼ばれる状態が生まれていました。

過払いを理解するためにはグレーゾーン金利が必須の知識となる

グレーゾーン金利は、かつての利息制限法で定められた上限金利を上回り、出資法で定められた上限金利以下ならば、貸付をしても罰則規定が無いために無知な消費者から文句を言われることが無かったことに端を発しています。
利息制限法では、以下のような貸付金額に応じた上限金利が定められています。

・10万円未満の貸付に対しては年率20%が上限金利
・10万円以上100万円未満の貸付に対しては年率18%が上限金利
・100万円以上の貸付に対しては年率15%が上限金利

上記のように貸金業者が融資を行う際には、貸付金額に応じて受け取れる上限金利が決められていますが、かつては罰則規定がありませんでした。
一方、旧出資法では年率29.2%の上限金利が設定されていて、上限金利を上回る金利設定に対しては罰則規定がありました。改正貸金業法が完全施行される時期に合わせて、出資法の上限金利が年率20%に引き下げられたことにより2010年6月以降はグレーゾーン金利と呼ばれる利息制限法に違反していながら罰則規定が無く出資法に違反しない金利設定が撤廃されたわけです。

グレーゾーン金利で返済していた部分は違法貸付に伴う不当利得扱いとなる

貸金業者が融資を行っていた金額により利息制限法に定められた上限金利が年率15%~20%と段階的に異なるものの、20%を超えて29.2%以下となる金利で融資が行われていた分に関しては違法な貸付となります。2010年6月の最高裁判所判決により、出資法の規定に関わらず上限金利は利息制限法による年率20%と確定しました。これまで20%を超えたグレーゾーン金利で貸付を行っていたことは、利息制限法に違反していても罰則規定が無かったために規定を知りながら信販会社や貸金業者が上限金利以上の不当な利益を得ていたことになります。そこで、民法第703条に基づく不当利得返還請求を行うことで過払い金を請求することが出来るわけです。不当利得返還請求権は、民法第167条の規定により消滅時効が10年とされているので、最終返済日から10年経過する前に過払い金請求を行わなければ自分のお金を取り返せなくなります。信販会社や貸金業者は一般市民とは異なり貸金業法及び割賦販売法に基づき営業を行う法人という扱いとなるので、法律の規定を知らなかったという言い分が通用しません。

過払いが発生するための条件は、過去に20%を超える金利で借り入れをしていて最終返済日から10年を経過していないということですか?

元々は利息制限法に定められていた上限金利に罰則規定が付いていないことが原因ですが、信販会社や貸金業者が知っていて利用者から不当な利益を得ていたことになります。ただし、クレジットカードのショッピング枠については、あくまでも立て替え金という扱いであって借り入れに該当しないという点に注意しなければなりません。

ショッピング枠であっても利息を支払っているわけですから、過払い金対象となってもよさそうですが法律上の取り扱いは別物という扱いなわけですね。

実際にショッピング枠に関しては、あくまでも手数料であって利息という扱いにはしていません。また、キャッシング枠とは異なり大半が利息制限法が定める上限金利内での手数料設定となっていました。

過去にクレジットカードのキャッシング枠を利用していたなら過払い金を確認してみよう

クレジットカードを保有していてキャッシング枠を付けているならば、過去の取引履歴次第では過払いが発生している可能性があります。では、過払いが発生しているかどうかは、どのような条件により見分けることが出来るのでしょうか。

2010年6月以前にキャッシング枠を利用していたら過払い金がある可能性が高い

利息制限法で定められた上限金利は、改正貸金業法と割賦販売法が完全施行された2010年6月以前から変わっていないことから、2010年6月以前にキャッシング枠を利用していたら過払い金がある可能性が出てきます。なぜなら、2010年6月には最高裁判所によりグレーゾーン金利について過払い金請求を最終取引日から10年以内ならばいつでも可能となる確定判決が下されているからです。出資法が改正されて上限金利が年率29.2%から20%に引き下げられた時期も改正貸金業法と同時期となるため、多くの貸金業者と信販会社は2010年6月迄に金利改定を行っています。実際には旧日本信販やセゾン・エポスといった大手の信販会社が2007年頃からキャッシング枠の金利を20%以下に引き下げる改定を行っているので、必ずしも2010年6月以前だからという理由で過払い金が発生しているとは限りません。しかし、中小信販会社の多くが改正貸金業法が完全施行されるギリギリまで上限金利を29.2%近くに設定したことを考えれば、2010年6月以前から契約しているクレジットカードのキャッシング枠については調査に値します。

過払い金の消滅時効は最終取引日から10年間経過した時点で完成する

クレジットカードにおける過払い金は、キャッシング枠をグレーゾーン金利の状態で借り入れして返済を続けていた場合には、最終返済日から10年間経過した時点で消滅時効が完成します。クレジットカードを発行している信販会社や消費者金融は法務部を持つために消滅時効が完成した後になって過払い金請求を行っても、確実に消滅時効の援用を行って来るはずです。そこで、過払い金の消滅時効が完成する前の時点で過払い金請求を行い事項の中断をさせなければなりません。最高裁判所による判決が2010年6月だったことから、法律知識に詳しく無い人は2020年6月迄しか過払い金請求が出来ないと思いがちです。しかし、最終返済日から10年経過した時点での消滅時効となるため、返済を終えた日を調べなければ本当の消滅時効がいつなのか分かりません。

過払い金の消滅時効完成日は過去の取引履歴と法解釈により裁判所の判決を待たなければ分からない

クレジットカードのキャッシング枠を使った借り入れが過払いとなるためには、少なくとも最終返済日から10年以内であることが条件です。グレーゾーン金利での借り入れがあったとしても、消滅時効が完成していれば請求先の相手となる信販会社や消費者金融から消滅時効の援用をされてしまうので過払い金請求が無効となってしまいます。中でも注意しなければならないポイントとして、クレジットカードのキャッシング枠は利用限度額が設定されている状態で繰り返し借り入れと返済が出来るという点が挙げられます。例えば、次の2種類の例を挙げた時に、どちらが過払い金請求出来ない常態か判断が難しいです。

①最初に年率27.6%で30万円借り入れして完済し、1年後に今度は18.0%で借り入れして2年前に完済した場合。
②最初に年率27.6%で20万円借り入れして完済前に10万円借り入れして途中で金利設定が18.0%に見直された場合。

①のキャッシング枠を使った借り入れでは、一度グレーゾーン金利で借り入れしてから完済した後、1年間の空白期間がある状態で新たに金利設定が改められて利息制限法の範囲内で借り入れを行っています。最初の取引と後の取引については、1年間の期間が開いているために取引が分断されていて別契約だとクレジットカード会社は主張して最初の完済から10年間経過していれば消滅時効の援用を主張するはずです。法律上では取引の分断と呼ばれて別扱いの契約とする解釈もありますが、一方で利用限度額の変更が行われていなければ同じクレジットカードを使った取引だからという理由で最初と最後の取引も一連の取引として最初の取引が消滅時効の対象とならないという解釈も出来ます。両者のどちらの主張が個別に適用されるかどうかは、裁判所による判決によって決めなければならないので、不当利得返還請求訴訟の提起を行わなければ過払い金回収が難しい事例です。金額が少ないために認定司法書士であっても取引の分断と一連の主張を含む過払い金請求訴訟は行えますが、クレジットカード会社は控訴する可能性が高いので最初から弁護士に任せなければなりません。なぜなら、認定司法書士は簡易裁判所のみ訴訟代理権を持つので、控訴されてしまうと再度弁護士へ依頼しなければならずに代理人費用が2倍かかるからです。

一方、②の借り入れであれば途中で金利設定が変わったとしても、完済をせずに追加借り入れにより取引が継続していることからクレジットカード会社側が取引の分断を主張出来ません。最終返済日から10年間が経過していない限りは消滅時効の援用が出来ないので、速やかに不当利得返還請求訴訟により過払い金の回収を行うと良いケースです。

過払い金の消滅時効を止めるためには過払い金請求訴訟を即座に起こす必要がある

グレーゾーン金利による借り入れがあったために過払い金が発生しているならば、最終返済日から10年が経過する前に消滅時効の中断を狙うため不当利得返還請求訴訟を提起する必要があります。消滅時効の完成が近い場合には、裁判上の請求を行えば良いので以下のどちらかの方法で裁判所に申し立てれば時効は中断します。

・不当利得返還請求に基づく訴えの提起
・支払督促を裁判所へ申し立てる

訴訟提起には訴状準備が必要となり時間が掛かってしまうので、消滅時効まで時間がない場合には支払督促を裁判所へ申し立てるだけでも時効は中断します。支払督促は裁判を開くことなく、相手方に届いた時に異議申し立てがクレジットカード会社からされなければ、自動的に消滅時効が中断されると共に強制執行可能な債務名義の取得が可能です。実際にはクレジットカード会社は2週間以内という期限内に確実な異議申し立てを行うので、そのまま通常訴訟へ移行することになります。

過払い金請求を行う前にクレジットカードの利用履歴を全てチェックするのはなぜか

過払い金請求を行う前には、弁護士や司法書士といった専門家へ委任しても必ずクレジットカードの利用履歴を全て確認することになります。既に完済済みのクレジットカードであっても過去のキャッシング枠を使用した取引履歴を全て確認しなければならないのはなぜでしょうか。

司法書士のテレビCMでは着手金無料を謳う所が多いですが、クレジットカードの利用履歴を取り寄せることと関係があるのでしょうか。

弁護士に依頼すると着手金が必要になることが多いので、司法書士へ依頼してクレジットカード全取引履歴を開示請求した結果、弁護士に依頼し直すといったことを日本人は良心の呵責から行いにくい点を利用しています。たとえ弁護士であってもクレジットカード全取引履歴を開示請求しない限り、過払い金の有無を確認出来ない点は変わりません。むしろ、過払い金の発生金額が明らかに少ないと考えている人が、司法書士へ依頼しているのではないでしょうか。

過払い金請求と任意整理は信用情報に与える影響の差が大きい

クレジットカードを長年保有していて、過去にグレーゾーン金利で借り入れを行って完済した事実があるならば、過払い金請求を行える可能性が高いことは確かです。しかし、現在も同じクレジットカードを使い続けていてショッピング枠を分割払いやリボ払いで支払っている場合には注意しなければなりません。なぜなら、過払い金請求のタイミング次第では、ショッピング枠の立て替え払い金が残っている場合は相殺された結果として、個人信用情報機関へ悪い信用情報が書き込まれてしまう可能性があるからです。ポイントとなるのは、クレジットカードはショッピング枠とキャッシング枠の両方について相殺処理が行われる点が影響ています。

ショッピング枠の残債が過払い金請求額よりも少ない場合は不当利得返還請求のみ

1枚のクレジットカードにはショッピング枠とキャッシング枠があり、キャッシング枠に関してのみ過払い金請求が出来る可能性があります。過去にグレーゾーン金利にて貸付を受けていて、金利引き直し計算を行った上で過払いとなっている部分が該当するわけです。過払い金請求額がショッピング枠の残債を上回っている場合には、相殺した結果として清算された上で残った過払い金が返金されます。法律上の過払い金は、相殺処理を行った上でも過払いとなっている状態を指し、最高裁判所の判決により過払い金請求のみならば個人信用情報機関へ悪い情報として登録してはならないという決まりになっています。

ショッピング枠の残債が過払い金請求額よりも大きい場合は任意整理となる

ショッピング枠の残債が多い状況で過払い金請求を行うと、相殺処理により清算してもショッピング枠の残債が残ってしまうことがあります。ショッピング枠の残債が多い状態で過払い金請求を行うと、過払い金が全て残債と相殺された結果として過払い状態が解消されて、さらに不足している部分を一括払いしなければなりません。法律上は任意整理という扱いとなるので、個人信用情報機関へ任意整理を行った事実が記録されて、他のクレジットカード会社との取引が難しくなります。任意整理は債務整理の1形態であって、任意整理を行った事実が個人信用情報機関へ記録されると異動情報欄に最大5年間マイナス情報が残り続けることになりかねません。このため、クレジットカードに過払い金があると思われる場合には、確実に過払い金でショッピング枠の残債を相殺してゼロに出来る場合のみ過払い金請求を行うと効果的です。

クレジットカードの過払い金請求はショッピング枠利用残高が少ないことが前提となる

クレジットカードで過払い金請求を行うためには、ショッピング枠を利用した分割払いやリボ払い残高が無いか限りなくゼロに近い一括払い可能な範囲に留めておく必要があります。なぜなら、過払い金請求を行った際には、該当するクレジットカードは利用停止となり、一旦全て清算することになるからです。過払い金請求額がある程度大きくても、ショッピングリボ払い残高がある場合には、過払い金でリボ払い残高や分割払いの残債を一括返済することになります。一括返済して残債が消滅出来れば個人信用情報機関へのマイナス影響はありませんが、リスクを減らしておくことに越したことはありません。過払い金請求を行う前の時点でショッピング枠及びキャッシング枠両方の残高をゼロにしておくことが理想です。

過払い金請求を行ったクレジットカードはなぜか解約処理となる

クレジットカードの過払い金が見つかったならば、過払い金請求を行って自分のお金を取り戻そうとすることは自然なことです。なぜなら、本来返済する必要が無い金額まで気づかないうちに払わされていたことになるからです。しかし、過払い金請求を行うかどうかは、今まで使ってきたクレジットカードが過払い金請求により解約処理となる点に注意しなければなりません。過払い金請求は、民法第703条に基づく不当利得返還請求権によるものであって、あくまでもクレジットカード会社が不当に利益を得ていた部分を取り戻す正当な権利行使に違いありません。にも関わらず、過払い金請求を行ったクレジットカードが解約処理されてしまい、クレジットカード会社と同系列のグループ会社のクレジットカードも次回更新が出来なくなることは覚悟しなければならない状況です。では、なぜ過払い金請求を行っただけでクレジットカードが解約処理となってしまうのでしょうか。

過払い金請求を行う利用者を顧客とはみなさないクレジットカード会社が多い

過払い金請求は本人のお金を正当な権利に基づき取り戻す方法ですが、あくまでも法律上の権利行使であってもクレジットカード会社の経営を傾かせる原因となりかねません。実際に大手クレジットカード会社は過払い金請求が多発したことにより経営状態が悪化し、東京証券取引所1部から2部へ移動したオリエントコーポレーションの例があります。オリエントコーポレーションはみずほ銀行の支援を受けたことにより資金面の不安を打ち消して東京証券取引所1部へ復帰しましたが、他のクレジットカード会社は統廃合が進んでいる状況です。クレジットカードはそもそも会員制の立て替え払い制度であって、会員資格を認めることはクレジットカード会社の自由裁量の範囲内となります。このため、過払い金請求を行った利用者は既に法律上の係争関係となった相手方として、会員資格を剥奪する経営判断が行われるわけです。また、グループ会社のクレジットカードについては、即座に解約処理とすることが難しい場合があるので、次回以降の更新が行われない返済専用のクレジットカードという扱いとなりやすいです。過払い金請求を行う際には、クレジットカード会社の統廃合状況を確認した上で、以後は過払い金請求を行ったグループ会社との取引も出来なくなることを覚悟しなければなりません。どうしても解約されたくないクレジットカードがある場合には、過払い金請求を断念する必要があることも視野に入れる必要があります。

クレジットカードの過払い金請求は改正民法の影響を受けるのか

クレジットカードで過払い金請求を行えるのは、最終取引日から10年以内と決まっていますが、キャッシング枠を利用している金額が多くリボ払いを継続している場合にはまだ十分に取り戻せる可能性が高いです。では、改正民法により消滅時効について整理されたことがキッカケでクレジットカードの過払い金請求に影響が出るのでしょうか。

民法が改正されて周知期間が過ぎて施行される2020年4月1日になると、クレジットカードの過払い金請求にも影響が出るのでしょうか?

最終取引日が改正民法の施行日以降となる場合のみ影響が出る人が一部にいると考えられますね。日本国内では遡及法は禁止されているので、既に完済済みなら影響はありません。

最終返済日が2020年4月1日以前なら最終返済日から10年の消滅時効に変わりない

改正民法では、次の2種類の条件で消滅時効が決まります。

・債権者が権利行使可能だと知った時から5年
・権利を行使可能な時期から10年

一見すると過払い金請求の消滅時効が10年から5年へ短くなったと考えがちですが、一般市民にとって過払い金が自分にあるとは気づきにくいものです。また、最終返済日から10年経過する前の段階ならば消滅時効は完成しないことに加えて、最終返済日が改正民法施行日となる2020年4月1日より前ならば旧民法第167条の規定がそのまま適用されるので、消滅時効は最初から10年に変わりありません。

最終返済日が2020年4月1日以降なら消滅時効が短くなることがある

最終返済日が改正民法施行日以降となっている場合には、過払い金請求可能だと本人が知った時から5年間権利行使しないと消滅時効が完成します。いつ過払い金請求が可能だと知ったのかという時期については、判断が難しい部分があるので不安な場合には最初から弁護士へ相談することが望ましいです。なぜなら、グレーゾーン金利でキャッシング枠を使った借り入れがあったとしても、現在クレジットカードの利用残高がショッピング枠も含めて一括返済可能な金額を超えているならば即座に過払い金請求を行う意味が薄いからです。過払い金請求はあくまでも不当利得返還請求という権利ではあっても必ずしも即座に行使しなければならないものではなく、個人の信用情報に毀損が発生しないよう消滅時効の完成時期を見ながら慎重に行う必要があります。過払い金請求を行ったつもりが、任意整理となってしまうという事態となることは、何もしない方が良かったという状況となりかねません。過払い金請求により現金が戻ってくる状態ならば個人信用情報機関へ登録される情報に何ら悪い影響を与えませんが、任意整理となると金融事故を起こしたという履歴が書き込まれてしまうわけです。

クレジットカードで過払い金請求をする前に他のクレジットカードや借り入れについて注意しよう

クレジットカードで過払い金請求を行う前には、他のクレジットカードや借入額について全て調べ上げた上で弁護士へ相談することが望ましいです。なぜなら、クレジットカードのキャッシング枠に過払い金があるからといって、必ずしもプラスとなる場合とは限らないからです。過払い金請求を行ったクレジットカード会社及びグループ会社とは、今後の取引が難しくなる前提で考えなければなりません。クレジットカード会社は多額の過払い金請求により経営状態が悪化した企業ほど、統廃合が進んで複数のクレジットカード会社が1社にまとまり、さらに銀行の傘下に入っていることが珍しくありません。今後ローンを組む可能性を考慮した場合、各クレジットカード会社がどのグループに属しているのか詳しくチェックした上で過払い金請求を行うことが望ましいです。

クレジットカードの過払い金を請求する方法とは

2010年6月以前にクレジットカードのキャッシング枠を使った借り入れがあり、金利設定が年率20%を超えているならば、過払い金請求が出来る可能性が高いです。しかし、どのようにして過払い金の有無を確認し、実際に不当利得返還請求として過払い金を取り戻せばよいのか分からない人が少なくありません。手順さえ把握していれば、仕組みが実はシンプルだと気がつくはずです。

過払い金請求を自分で行う人が少ないことは、数学が苦手な人が多いからでしょうか?何か他に理由があるなら教えて下さい。

クレジットカードはショッピング枠とキャッシング枠の2つが一体となっていて、過払い金が発生するのはキャッシング枠にグレーゾーン金利が適用されていた場合だけです。現在進行系でクレジットカードを分割払いにて利用している人にとって、本当に過払い金請求をしても良いのか判断するためには金利引き直し計算だけでなく専門家の判断が求められます。

全取引履歴をクレジットカード会社へ請求する

クレジットカード会社は過去の取引履歴を一定期間保管する義務がありますが、グレーゾーン金利が適用されていた期間についても全取引履歴を取り寄せることにより確認することが出来ます。しかし、一部のクレジットカード会社では、過去の取引履歴が無いと主張して全取引履歴を個人からの請求に対しては拒否することがあり、全取引履歴を請求する時点で認定司法書士や弁護士への依頼を行うことが望ましいと考えられています。実際に弁護士からの請求があれば、過去の取引履歴を金利引き直し計算がしやすい形式でしっかり送付してくれることを考えると、全取引履歴の請求がそのままグレーゾーン金利による過払い金請求へ繋がるとクレジットカード会社が考えていると判断可能です。個人からの全取引履歴請求ならば既に保管期間が過ぎて廃棄されていると称して、消滅時効の完成を待つために引き延ばしを行おうという意図が見え隠れします。

金利引き直し計算を行い過払い金の金額を確認する

クレジットカードの全取引履歴を取り寄せることが出来たならば、利息制限法に基づく上限金利で金利引き直し計算を行います。キャッシング枠の取引履歴のみを抽出した上で金利引き直し計算を行わなければならないので、面倒な作業となる点を否めません。過払い金が本当に存在するのかといった確認を行うための作業であって、実際に過払い金請求を行う際には請求する側が金利引き直し計算を行った請求額を確定させなければならないわけです。クレジットカード会社から全取引履歴を取り寄せる際に個人で行うと、ショッピングとキャッシングの両方が混在した取引履歴が送付されてくることから分かるように、意図的に弁護士向けと異なる仕様の全取引履歴が送付されます。しかし、弁護士ならば明らかに過払い金請求の有無や債務整理の一環という形になるので、金利引き直し計算をしやすい形式で全取引履歴が送付されてきても不思議ではありません。個人が全取引履歴を希望する場合には、具体的に過払い金請求の調査のためかどうかを確認出来ないからこそ、履歴をそのまま出力しただけの素の状態な全取引履歴が送られて来るわけです。最終的に金利引き直し計算を行った結果として、過払い金の額が確定します。

消滅時効の有無を確認して過払い金請求を行うか決める

過払い金請求は民法第703条に基づく不当利得返還請求によるものですから、消滅時効が最終取引日から10年間となります。過払い金請求を可能かどうかの判断を行うためには、最終取引日がいつになるのかという点を確定しなければなりません。過去にキャッシング枠を完済した履歴がある場合には、取引の分断をクレジットカード会社側が主張してくるために一連取引であったことを、不当利得返還請求訴訟を提起することにより裁判所に認めてもらう必要があります。

クレジットカードの過払い金請求はなぜ弁護士に依頼すると良いのか

クレジットカードの過払い金請求を行うためには、過払い金を明記した請求書を内容証明郵便を使ってクレジットカード会社へ送付するといった方法により、消滅時効のカウントを6ヶ月間停止出来ます。個人で法律的な手続きを行うことは、クレジットカード会社にも顧問弁護士や法務担当者がいるために、ミスや交渉力不足により失敗するリスクが否めません。そこで、過払い金請求に強い認定司法書士や弁護士へ依頼する方法が一般的です。では、過払い金請求を認定司法書士ではなく弁護士へ依頼するメリットはどこにあるのでしょうか。

弁護士なら即座に不当利得返還請求訴訟を提起してもらえる

過払い金請求を行うためには、以下の3つの方法により実行出来ます。

・内容証明郵便にて過払い金請求書をクレジットカード会社へ送付する
・支払督促を裁判所経由でクレジットカード会社に対して行う
・不当利得返還請求訴訟を提起する

上記3つの手段は、過払い金請求額が140万円以内ならば認定司法書士であっても代理人として行えますが、認定司法書士の代理人としての管轄権は簡易裁判所に限定されます。クレジットカード会社が地方裁判所へ控訴する場合や、取引の分断と一連といった争いがある部分について複雑な提訴内容だとして地方裁判所への移送手続きを行うと認定司法書士では対応出来ません。クレジットカード会社は、代理人が誰かといった事情により争う方針を変えてくることが多いので、和解交渉により過払い金の一部返還で構わないなら認定司法書士への依頼でも問題ないと考えられます。しかし、過払い金を全額回収したいと考えているならば、最初から弁護士へ依頼することにより回収率を引き上げだけでなく、最初から不当利得返還請求訴訟による早期解決を図ることが可能です。とりわけキャッシング枠の完済を行った履歴がある場合には、確実にクレジットカード会社は過払い金そのものを取引の分断により存在しないと拒否してくるので、弁護士に任せて一連取引であることを裁判所に認めさせることが過払い金回収を行う上で必須の事項です。

グレーゾーン金利が元々法律上の不備をクレジットカード会社が悪用したものだとよく分かりました。認定司法書士が和解を中心にすすめるのは、裁判所の管轄権の問題だったわけですね。

クレジットカード会社が認定司法書士と弁護士に対して異なる方針を使っていることは確かですが、テレビCMにはリスク面の説明がありません。過払い金請求を依頼するなら、不当利得返還請求に強い弁護士へ依頼することが得策というわけです。

クレジットカードで過払い金発生の有無は金利引き直し計算をするまで分からない

クレジットカードで過払い金が発生する条件は、グレーゾーン金利で過去にキャッシング枠を使った借り入れを行っていて、最終取引日から10年以内に限られます。実際に過払い金がいくら発生しているのか確認するためには、たとえ弁護士であってもクレジットカード会社から全取引履歴を取り寄せて金利引き直し計算をしなければ判断出来ません。確実に過払い金を回収したいなら、最初から不当利得返還請求訴訟を提起するつもりで弁護士へ依頼することが望ましいです。